踏みはずし

うつ病で社会のレールを踏みはずしたけど、楽しく健康に生きていく

松本旅行記 2019年3月8日

f:id:faux-pas1985:20190308140056j:plain

2019年5月17日に長野県松本市にある旧開智学校校舎が国宝に指定されました。

私は長野県、特に松本が好きで、今回のニュースの前の3月に旅行に行ってきました。

今回は観光ルートの紹介も兼ねた旅行記です。

www.fumihazushi.com

東京から信州・松本へ

f:id:faux-pas1985:20190308084641j:plain

私が住む地域から最も近い、東京都内のあるJRの駅から各駅停車で新宿へ。

9時00分発のあずさ9号に乗り、西へ向かう。

目指すは信州・松本。

列車が高層ビルの足元をすり抜けるように走り出し、次第に街並みは遠ざかる。

高尾を超えると車窓に山並みが迫りだし、都会を抜けたという感慨になる。

勝沼ぶどう郷に至ると、突如周囲が開け、眼下に甲府盆地を見下ろす。

私は甲府から先に行くとなんとなく旅情を感じる。

右手に八ヶ岳を眺めながら進むと、線路端の日の当たらない部分にはところどころ雪が残っている。

高地にきたのだと感じる。

11時50分頃、定刻よりやや遅れて松本駅に到着する。

ドアが開き、1歩駅のホームへ出ると、体に纏っていた都会の香りを残した車内のこもった空気を、涼やかで爽やかな風が洗い流す。

信州にやってきたのだと思った。

『三城』でそばを食べる

f:id:faux-pas1985:20190308120950j:plain

駅を出ると、都内とは全く違い、街は高い山々に囲まれているが、空はそれよりももっと高く広がり、開放的な雰囲気に包まれた街がある。

駅前のホテルのチェックインの時間まではまだ少しあるので、荷物を持ったまま松本の街を観光する。

荷物と言ってもまだずいぶん余裕のあるバックバック1つだけだ。

今回の旅行の1番の目的は松本城であったが、ちょうど昼の頃合いで、先に何かを食べようということになる。

以前噂で聞き、また前回松本に来た時は定休日で入ることができなかった『三城』というそば屋に向かう。

店は、駅から繁華街を通り左折をし、城へ至る大名通りにある。

今回は店先に暖簾が出ていた。

先に言うと、私はこのお店で食べることができて嬉しかった。

f:id:faux-pas1985:20190308130403j:plain

ここはグルメサイトなどでは賛否両論である。

味に関してもそうだが、良く言えば格式高いが、悪く言えば愛想が無く、排他的に感じる人も多いようだ。

また、店内では写真を撮ってはいけないと紹介されている

私が店に入ると、和服を着た女将さんが出迎えてくれた。

確かに愛想が良いとは言えないが、上品な雰囲気がある。

予約はしていなかったが、すぐに席に案内された。

和の調度品が並ぶ薄暗い落ち着いた店内で、接客は女将さん1人でしている。

私の他には、お客さんが先に1組いた。

女将さんはそちらへの配膳を済ますと、私の席にやってきた。

「お車は運転しますか?」

そう問われ私は「乗りません」と答えた。

このお店にはお品書きは無い

2000円でコース料理のように出てくる。

そこにはお酒も含まれる。

女将さんが店の奥へ引っ込むと、それほど時間を待たず、すぐにお酒とお通しを持ってきた。

そして「お酒と網茸です」と言ってすぐに下がっていく。

その後も順々に品物が運ばれてくるが、その都度料理や薬味の使い方、蕎麦湯の注れ方など簡潔だが丁寧な説明があり、私は「愛想が悪い」といった印象は全く抱かなかった。

出てきたものは、日本酒、あみ茸の煮たもの、そば、そば湯、お新香、そしてデザートに花豆。

良い料亭を思わせる店の雰囲気と同様に、料理も一品々々丁寧に作られ上品である。

しかし、それだけではない。

きのこにしてもそばにしても、綺麗なだけではなく、良い意味で野性味があり、素材の香りや美味しさを味わえる。

都会の洗練された味とは又違った趣とでも言えるだろうか。

かと言って「素朴な」とも違い、料理の味としてそれを感じることができる。

そして量もそこそこあり、それを考えると2000円という値段は安い。

そばは付けるとしたらせいぜい徳利1本で、スルッと啜って長っ尻せずに店を出るのも粋だが、落ち着いた空間で、料理をゆっくり味わうように食べるのも乙だと感じた。

四柱神社でお参り

f:id:faux-pas1985:20190308122851j:plain

食事を済ますと、そば屋『三城』から松本城とは逆だがすぐ近くにある四柱(よはしら)神社にお参りをする。

その名の通り、この神社には四柱の神様が御祭神として祀られている。

天之御中主神(あめのみなかぬしのかみ)

高皇産霊神(たかみむすびのかみ)

神皇産霊神(かみむすびのかみ)

そして天照大神(あまてらすおおみかみ)である。

f:id:faux-pas1985:20190308122836j:plain

天照大神は日本の大祖神として有名だが、この三神の神意を伝えるために顕現したとあるが、私このあたりのことについて全く知らなかった。

徳の高い神様が四人もいるなら、そして「願いをむすぶ」神様ならと、あれこれ欲張って祈る。

松本城に行へ

f:id:faux-pas1985:20190308131801j:plain

今回の旅行の1番の目的は松本城である。

以前来た時は、入るまでに1時間以上待たなければならないという状況だったので諦めたのだ。

今回はすぐに入ることができた。

私は何度も松本を訪れているが、実は松本城を最初に見た時はあまり印象に残らなかった。

というのも、城よりも周囲の雄大な山々に目がいっていた。

しかし、いつからか記憶の中の松本城が非常に美しい城になってきた。

そう思い始めてから、今回が初めて城内へ入る機会となった。

私がこの名城を目の前にした時に初めに感じるのは、その色と全体のバランスの良さだ。

特徴的な黒い色は、松本城の基礎を固めた城主である石川氏の秀吉への忠誠を示すため大阪城に倣ったからということらしいが、決して重苦しさは感じさせず、信州の青く広い空と、澄んだ空気の中に美しく映える。

またその佇まいも、日本の城らしく重厚さはあるが、無駄に威を示すのではなく、山に囲まれた街に静黙と、しかし悠々と聳えている。

この城は、夏の緑にも、冬の雪にも映える。

桜の季節には夜桜会も行われ、夜の闇の中でも美しい。

f:id:faux-pas1985:20160405192918j:plain

城内もその他の多くのお城と同じで、外敵から城と街を守るため周囲を把握できるよう、辺り一帯を見下ろすようにできていたり、銃眼がいくつも見うことができる。

しかしその一方で、ここでの生活が戦ばかりではなかったを示すように「月見櫓」がある。

外から見ると堅牢な壁に囲まれた城の中で、ここだけは木の戸板で覆われており、使用する際にはその戸板も外すことができ、遮るものがなくなる。

その名前の通り、ここでは月を愛でたのだろうし、信州の爽やかな風を感じながら歌や音楽が奏でられたのかもしれない。

荘厳な城に、風雅を添えている。

www.matsumoto-castle.jp

ちなみに松本城の天守閣からは旧開智学校校舎が見える。

f:id:faux-pas1985:20190308133142j:plain

街の中に溶け込んでいる姿がなんとも可愛らしい。

松本城周囲をめぐる。旧開智学校へ。

ここまで観光して、ホテルのチェックインの時間まではまだ少しあった。

だからまだ少し、どこかをぶらぶらしようと思った。

この時、実際に行ったのは松本城のすぐ裏にある松本神社とその横にある小さな飲食店で、そこでは甘酒をいただいた。

次に松本市立博物館である。

地方都市の博物館はその土地の歴史や風土を知るのに非常に有益であり、私個人としてはたいへん楽しめるが、如何せん多くの場合地味である。

松本もその例に漏れず、この土地の縄文時代からの地層などを見るのも興味深いが、多くの旅行者にとって優先順位は低いだろう。

だからここでは、以前行き、最近国宝に指定された旧開智学校校舎に行くのが良いと思う。

つまり、私は今回はそこへは行かなかったわけだが、日帰り旅行ルートとしてここに組み込んでも時間的には余裕があるのでここに記す。

f:id:faux-pas1985:20160904144350j:plain
見ての通り和洋混交の古き良き建築であり、以前から重要文化財に指定されていたが、先日、国宝に指定されたというニュースがあった。

中は木造の校舎の教室に古い木製の椅子や机、黒板などがあり、当時のここで学んでいた子どもたちの姿が偲ばれる。

不思議なもので、人間、初めて訪れた、初めて見た場所なのに、懐かしさや郷愁を感じる場所というのがある。

この旧開智学校が正にそうで、校舎の中を歩いていると、昔ここで学んでいた子ども達一緒に、小さな頃に自分が廊下を走り、階段を駆け下りている姿が脳裏に浮かぶ。

ここでは明治に建てられた貴重な建築を見学することもできるし、展示された資料で「学都」と呼ばれる松本の教育の歴史を学ぶこともできる。シンプルにレトロな雰囲気を楽しんでも良い。

校舎の隣には旧司祭館がある。

ここは明治にフランスからきたオーギュスタン・クレマン神父が住んでいた洋館を移築したもの。以後、100年近く松本カトリック教会の宣教師たちの住居として使用された。

この建物は完全な洋館であり、和の趣もある校舎とはまた違った雰囲気を味わうことができる。

何にせよ、ここでは時が止まったような建築の中で、心地よい時間が過ごせる。

matsu-haku.com

また、なにか食べたいのであれば開智学校のすぐ近くにある「松本そば処 もとき も良い。

信州はそば処であり、様々な名店・有名店があるがそれぞれ特徴があり、食べる方の好みもあるだろう。

私が食べたこの「もとき」は『吟醸そば』という、大変きれいなそばを名物としている。

一口目を口にした時、私は「そばの香りが弱いな」と感じた。

それはある意味では正しかったが、間違っていた。

『吟醸そば』は日本酒の吟醸酒のように、そばの実の中心に近い部分だけを使ってそばを作るのだ。

そうすると、雑味がなくなり、そば自体も透き通るような色で、そば香りがほのかに香るツルツルとしたのどごしの良いそばになる。

せいろに盛られたそばはあっという間になくなった。

香りの強い田舎そばのようなものも美味しいが、きれいなそばがお好みならこの店で食べていただきたいと思う。

www001.upp.so-net.ne.jp

夜の松本

そうこうしていると、時間はとうにホテルのチェックイン可能な時間になっていた。

日帰りであれば、松本市美術館や時計博物館、深志神社や縄手通りなど、他の観光スポットを巡るのも良いかもしれない。

有名なスポットでなくとも古い建物のお店などもあり、松本は空気を感じながら歩いているだけで楽しい街である。

f:id:faux-pas1985:20190308130554j:plain

ただ今回私は1泊して次の日に別のところへ行く予定もあった。

そして、せっかくその街に宿をとるのであれば、夜の街を楽しみたかった。

夜の街と言っても怪しい話ではない。

食事やお酒を楽しむということだ。

その土地の食べ物と酒を味わうことは何よりも楽しいことである。

そして松本はバーの街だ。

私は予約した駅前のホテルに行きチェックインを済ませ荷物を置くと、襟付きの洋服に着替えた。

ドレスコードはなくとも、オーセンティックバーに行くならば、フォーマルとは言えないまでも身だしなみを整えて店へ向かう。

ひと休みし、準備をすると、そろそろ街の看板や提灯に明かりが灯る頃合いだ。

はじめはバーではなく、食事が取れる店に入った。

そこは特に名高い店ではなかったが、出てくるものはウドやタラの芽、フキノトウなどその土地で採るれたもので、旅の気分と共に非常に美味しくいただいた。

地方都市に行くとチェーン店ですら、その地場の採れたてのものが出てくる。

こればかりは東京ではなかなか味わえない美味しさと楽しさだ。

天ぷらや和え物、そして信州名物の山賊焼きや蜂の子にも手を出し、十分に腹を満たした私はその店を出て、あるバーへ向かった。

そのバーは以前にも行ったことがあり、初めて訪れた時に飲んだウイスキーの香りが忘れられず、今回が3回めの訪問であった。

バーには東京でも何度も行ったことがあるが、シックな雰囲気のお店の扉の前に立つと、いつもなんとも言えない高揚感と緊張感が湧き上がってくる。

勇気を出して少し重さのある木の扉を開けると、そこには薄暗く大人の雰囲気が満ちていた。

そんな重いとも言える雰囲気とは裏腹に、バーテンダーは落ち着いた、しかし親しみのある声で快く迎え入れてくれた。

私は証明の柔らかい光が落ちる一枚板のバーカウンターに席を取ると、オーダーを伝えた。

カクテルをゆっくりと飲みながら、私が東京からの旅行者で、何度かこの街にもお店にもきていると言うと、喜んでいろいろな話をしてくれた。

そして、目的のウイスキーがあるかと聞くと、当時とは違うものだが同じ蒸留所の物があるというのでいただいた。

詰められていた樽から移った木の香りと独特の甘い香りが混じった琥珀色の液体を舐めるように口に含む。

以前と味は違うが、それでもこの質のものが飲めるという悦びは、何にも代えがたいものであった。

酒にまつわる話などを聞きながら、ゆったりと時間は過ぎていった。

酒の味と店の雰囲気の心地よさに名残惜しさを感じながらも、店をあとにしホテルへ戻ると、酔いと楽しさでふわふわとした気持ちの中で眠りについた。

 

ここでは行った店名は記さない。

旅先の夜の街は、自分の足の赴くままに歩いてほしい。

松本には魅力的なお店がたくさんある。

日帰り旅行でも、1杯飲んでから東京へ向かう電車に乗れば間に合うだろう。

最終の新宿行あずさ36号は20時10分発だ。(2019年5月現在)

ゆっくりとはいかないが、十分楽しむことができる。

 

異なる時期の話も交えたが、観光ルートの紹介も含めた今回の松本の旅行記は以上である。